共同研究推進部  松倉 和浩

技術相談窓口

技術相談は共同研究・商品化への第一歩
 共同研究推進部では、技術相談窓口として、①共同研究の掘り起こし、②産業技術のコーディネート活動、③競争的資金へのチャレンジ支援、④研究成果の普及・移転等に取り組んでいます。主な役割は、県内の多くの企業に「研究開発型企業へ」「より先鋭的な同企業へ」なっていただくために、企業への技術移転・競争的資金獲得の支援を行い、新技術・新事業の創出を強力に推進することです。
 今回は、森林伐採についての技術相談から、共同研究を経て商品化に至った成功事例をご紹介したいと思います。 

試作機

ご相談頂いた分野は我々の門外であった森林業
 林業者の森林伐採時に、倒木が他の木にひっかかる「かかり木」による死亡事故が絶えません。「かかり木」を防止するためには倒木したい方向にチェーンソーで切り口を正確に作り出す必要がありますが、熟練者でも精度良く切出すことは容易ではありません。
 このような中、今回、ご相談に見えたA社社長は、従業員の安全を確保するための方策がないものかと考え、解決策として伐採方向をレーザーで可視化し、勘に頼らずに受け口を正確に作成支援する補助装置を発案しました。そのアイディアを確認するため、自らホームセンターから部品を購入し、実証機を試作し、特許も取得しておられました。

センターの光学技術

技術コーディネータの腕の見せ所
 当センターの技術コーディネータがお話を聞かせて頂くと、この装置を多くの作業従事者に利用してもらい、労務災害を無くすことが願いとの事。しかし、商品化するためには、①作業現場で安全に利用できるレーザー光とするための技術課題、②商品化開発用の資金確保、③商品として生産するパートナーの確保についてクリアーしなければなりません。
 そこでまず、作業現場で安全に利用できるレーザー光とするための技術課題について、当センターの光学技術を持つ研究員とのマッチングを図ると共に、開発型の競争的資金への応募を支援させて頂きました。開発技術目標とビジネスモデルをしっかり固めたことで、みごと採択となり当センターとの共同研究により開発を推進することが可能となりました。

商品化した伐採補助装置

県内企業連携による商品化の実現
 また、企業間マッチングにより連携体制を構築したことが、商品化を実現できた重要なプロセスであったと思います。販路開拓については、全国の森林組合と協定を締結し、多くの作業従事者の利用が期待されるなど、最初の願いであった装置を多くの作業従事者に利用してもらい、労務災害を無くすことへ一歩ずつ近づいています。
 このように、共同研究推進部では、企業の皆さんの技術課題解決を支援するため、当センターのフロントエンドとして活動していますので、相談をご希望の方はご一報ください。